まんだらけ コラム

心底恐ろしいオススメマンガ

「百鬼夜行抄」

今市子


言わずもがな、今市子さんのコミックスです。
舞台化、ドラマ化されて知名度も高い作品です。
「怖い」というテーマで挙げるなら個人的に「餓鬼田の守り神」「人形供養」です。
特に「人形供養」は怖いです。
初めて見たときは怖くて一人で寝るのが…、でも好きです。

「荼吉尼」

穂実あゆこ

メジャーな作品を挙げたのでもう一つはマイナーなものを。
怖いというほど怖くは無いのですがこの作品が連載されていた10年位前、 その当時はまだ普通の少女漫画位しか読んだ事がなかったのでかなり衝撃でした。
普通の少女漫画っぽい絵だったし。
興味のある方はご覧ください〜。
1つに絞りきれずに2つになってしまいました。

うめだ店/川本

「太陽のドロップキックと月のスープレックス」

落合裕介/ミスター高橋


私はこれほど恐ろしい漫画を読んだ事がありません。
プロレスに台本や筋書き、勝敗が最初から決まっているだなんて!
そんなわけじゃないないですか、はっはっはっは・・・・(遠い目)
まぁ、百歩譲ってNOAHだけはガチです(涙目)。

というわけで新日本の元レフリーであるミスター高橋が『流血の魔術 最強の演技 〜すべてのプロレスはショーである〜』を発行してから数年、漫画の原作までやっちゃいました。
それが『太陽のドロップキックと月のスープレックス』です。

ちなみに作画は落合裕介氏、今は竹原慎二と組んでボクシング漫画描いておりますので、将来は花田勝と組んで相撲漫画を描いてくれる事でしょう(嘘)。
内容的にはオリンピックで金だか銀だかとった、まぁ、小川直也みたいな人と、ガチンコでは強いがジョバー(負け役)を演じ続けた男がMMAに出場し勝利を得てからプロレスでも地位を上げざるを得なくなったからどうしたこうしたというそんな話しです。

あまりのショックで内容を覚えていないほど心底恐ろしい漫画ですよー(私だけですが)。

札幌店/三樹

「地獄先生ぬーべー」

岡野剛


基本的にホラーマンガは読みません。怖いので。
その怖い物みたさで読んだのがぬーべーです。
コミックに載っている解説つきなのが良いです。
実際にまだいるかも…という回の話しがすごい怖くて怖くて。
今でも怖い話を聞いたり見たりすると部屋の電気をつけて寝ます。

「にんじん」

松本洋子/単行本未収録

ホラーをあまり読まないので、1タイトルでお勧めできるものが浮かばない不甲斐なさです…。
が、小学生の頃読んでいたなかよしに掲載されていた、彼女の作品は毎度毎度怖さに泣かされ夜のトイレをお化け屋敷並に怖くしてくれていたことだけはしっかり覚えています。
どれ読んでも怖いと思います、が、覚えている物では別冊ふろくに付いていた人参の話しが本当にこわかったんです。お母さんが人参に見えて食べちゃうやつ。

札幌店/宮内

「富江」

伊藤潤二


永遠に年を取らず死にもしない主人公、 絶世の少女富江の魅力に引き込まれた哀れな男性(と時々少女)がかってに好きになった挙句愛しすぎて富江をバラバラにしてしまうというお話しです。
この作品で一番の謎とホラーらしさはその彼女を憎いから殺害してしまうのではなく、 愛しているので自分の物にしたいが為に。富江を愛した男性は結局彼女との愛を生きていても死なせても得る事ができないというのがなんとも。
彼女は自分が大好きなので誰も好きになりません。
そして彼女は不死身なので一度死んだ後バラバラになりそのパーツからまた富江が増殖し、鼠算式に増えていってしまうのです。 そして誰も報われない・救われない。ホラーだからしょうがないといってしまえばそこまでなのですが。愛って残酷だなぁと読むたび思う作品です。

「神の左手悪魔の右手」

楳図かずお

中盤あたりの「黒い絵本」、終盤あたりの「影亡者」がヤバイです。
特に「影亡者」は怖すぎていまだに夢に出てきます。
あんなのが友人の肩に乗っていたら私は多分見ただけで死にます。

札幌店/岩城

「アウターゾーン」

光原伸


ちっちゃい頃、子供心に怖いと思いつつ、読んでいた作品がジャンプで連載されていた「アウターゾーン」です。オカルト、ホラー、ファンタジーなど中心に、 世にも奇妙な物語的な世界観で、怖い話しや、不幸な話しが中心で、ものすごくビクビクしながら読んでいたのを覚えています。
でも、なぜか、もう読まないと思いつつも、ビビリながらも、また次の話しを読んでしまうそんな魅了される作品です。

福岡店/梅本

「うずまき」

伊藤潤二


自分のオススメマンガは伊藤潤二の「うずまき」です。
主人公がうずまきに呪われた町から脱出するのがストーリーですが・・・
いや凄い!!ページを数ページめくる度に「うずまき」が!!
うずまきフェチってたぶん居ますよね?うずまきに洗脳されたこの町ではきっとどんな人でもこの作品に登場する人々の様におかしくなるはず?
この作品は顔の表情や目が怖い!!読んでみるとどんどん作品にのめりこんでしまいます。是非堪能あれ。

福岡店/水谷

「TVO」

御茶漬海苔


御茶先生はホラー漫画作家で1、2を争う描き手だと思います。そんな御茶先生の作品の中で特に面白いです!
どちらかというとスプラッター系の描写が多いマンガをよく描かれていますが、これは言わば社会派ホラー!!学校で…会社で…自宅で…そんな身近で起こりそうな恐怖体験が描かれています。
しかもただ恐怖体験を描いてるだけじゃないんです。訴えかけてくるんです。自然は大切に、とか、人には裏表があるよ、とか。これぞ社会派!!
暫く活動を縮小していた様ですが久々に新刊を出したり(でもコンビニ本。衝撃。)
フィールヤングで新連載が開始したり…。御茶先生、再び動き出す。今年の夏は御茶先生で決まりです。

福岡店/水谷

「アウターゾーン」

光原 伸


週刊少年ジャンプに没頭していた頃にやっていた恐怖系?漫画です。
当時TVでも「世にも奇妙な物語」というタモリさんが司会進行役で毎回不思議な話・怖い話・少しエッチな話みたい感じでオムニバスのショート作品の番組が流行ってました。

この作品で特にオススメは第29話の「妖精を見た」ですよ。
置いていたり締まっていた物が急になくなったり、何処に置いたか忘れる事ってよくある事ですがそれは実は妖精の仕業だったという話です。 しかもその妖精は人間に見られる事を嫌い姿を見た者は殺しに掛かると云った内容。

小さい妖精が出刃包丁らしい刃物を振り回しながら、あの手この手で主人公を闇に葬ろうとする姿が印象的だった。 私はこの妖精を勝手に「物隠し妖精」と名付け、今でも物がなくなると「物隠し妖精の仕業だぁ!!」と叫んでます。

福岡店/水谷

「汐の声」「わたしの人形は良い人形」

山岸凉子


「にんじん大好き!」 山岸凉子先生の「汐の声」と「わたしの人形は良い人形」、松本洋子先生の「にんじん大好き!」が3大恐怖漫画です。 3作品とも「トラウマ漫画」として名高いのですが・・・。ベタベタですみません。
でも、恐いものは恐い・・・。

「汐の声」はもう言わずもがな。例のあのページは恐くて飛ばしてしまいます。
「わたしの人形〜」は人形自体ももちろん恐いのですが(ひな人形とか日本人形とかがもともと苦手なもので・・・)、ちらばったお米やカラスの足跡など、 迫り来る得体のしれない恐怖がもう。もしこれから読まれるという方は、トラウマを覚悟してお読みください。

「にんじん」は掲載がなかよしの別冊ふろくで、全4話のうちの1話めです。
少女漫画の絵でグロいのが描かれるギャップが恐いですね。読んだのがリアルタイム、小学生のころだったのですが今でもラストのあのコマは鮮明に・・・。
こちらはKCなかよしコミックス「魔物語」でしか読めません。文庫には残りの3話は収録されているのに、この「にんじん」だけなぜか未収録です・・・。なぜでしょうね・・・。

以上が個人的3大恐怖漫画ですが、この3作品はどちらかというと幽霊もの・フィクション色が強いものです。
これはこれで恐ろしいですが、やはり、げに恐ろしきは「人間」そして「女の情念」。

救いようがなくて、人間って、人間のエゴって!と思うのは関よしみ先生。
シチュエーション・ホラーの女王と呼ばれています。 アパートの騒音・猛毒が街に落下・いじめられっこの呪いで13人死なないと教室から出られない・家が住む人を狂わせる・生きてるのにもうすぐ火葬されてしまうけど棺桶の中に入れられたままエトセトラエトセトラ。

とにかく救いがなくって、登場人物みんなおかしくて、パニック。
上記松本洋子先生と同じく、少女漫画の絵で地獄絵図が描かれるのですよ。
犬木加奈子先生や神田森莉先生は絵がまんまなので、ある程度は覚悟して読めるけど、これは・・・。
女の情念は恐ろしいですね。「洗礼」もそうだし、ライバルを殺しちゃったり壮絶なダイエットをしたり・・・。今けっこうタイトル思い浮かびましたが、収拾つかなくなりそうなので省略します。すみません。

恐怖ものは人にすすめていいものかちょっと悩みますが、あえておすすめするなら関よしみ先生の「愛の墓標」でしょうか。
真実の愛について考えさせられます。もちろんグロいシーンはありますが(苦笑)。
漫画だけでなくアニメやゲームも含めるのなら「バイオハザード」です。これもベタですが。
あの犬が窓破って飛び込んでくるところ、びっくりして悲鳴あげてコントローラーを落としたような記憶が・・・。

中野店/タムラ

「貸本まんが復刻版 墓場鬼太郎」

水木しげる


昨年、角川文庫から,復刻された際は非常に嬉しかったです。
「妖奇伝」を読めるのは、もちろんオリジナルと復刻の角川と青林堂で探すのが良いのですが、 オリジナルは当然として、復刻ですら私のサイフからは、その作品を購入できる資金を捻出する事は難しかったです。そんな為、クドくなりますが文庫版をオススメしますよ。

当店にある箱入りB6版原画ポスター付全6巻セットもありますが、 文庫サイズは持ち運べる利便性、いうなればいつでも鬼太郎と一緒にいられるという満足感が得られます。 当店で各巻682円で販売中です(売り切れる場合があります。ご了承下さい。)。

昭和34年に「妖奇伝」が発売されてから50年近くの歳月が流れ、鬼太郎も様々な作品を残しました。
水木作品の紙芝居時代を含めると半世紀を越えました。
貸本は15作品で兎月→三洋→兎月→佐藤プロ→東考社と渡り歩き、少年マガジンに活躍の場を移し現在の形となって行きました。 当時の描写はおぞましく怪奇漫画として“恐ろしいマンガ”という位置づけのはずですが、 今となっては国民的ヒーロとなった鬼太郎作品は、妖怪の類はでるものの単純にホラー作品であると語れません。完全にヒーローものです。

現在もアニメ、映画と親しまれている鬼太郎。
貸本の当時を知るご年配の方や幼稚園児にまで幅広い人気を擁している墓場〜ゲゲゲの鬼太郎。
そんな鬼太郎のルーツを気軽に手に入れられる文庫版全6巻とにかくオススメです。

「うわっその子きれい殺す」

UA!ライブラリー8

好美のぼる作品をマニア館A氏をさしおいて語るのは気がひけます。
この表題の『うわっこの子きれい殺す』は「幸うすき星」(文華書房'65年発行)に出てくる台詞です。

お母さんがひき逃げされ意識不明となり、頼る人もおらず不幸な境遇に負けず、 必死に生きる少女が、母の入院費を工面しようと凄まじい展開力で様々なバイトを短期間のうちに転々とし、数々の困難にも負けず必至に生きるストーリーです。

そして、ある家政婦のバイトをしている際、いきなり現れた(いつもですけど)主の妹が、 主人公の少女に向かって「うわっ この子きれい殺す」と言い放ち、いきなり(いつもですが)包丁を振り回し襲いかかります。
事無きを得ますが、立派な殺人未遂です。

○が○っているからといって、これ以上ヒューマンビーイングを恐怖に陥れる言葉があるでしょうか、いえありません。
いきなり見ず知らずの人間に「殺す」なんて言われるなんて、しかもキレイだから殺すなんて言いがかりも甚だしいです。 しかも主の妹という人物はここまで主人公に恐怖を植え付けるほどの行為を行ないながら、その後の重要キャラになるかと思いきやチョイ役でした。なんと贅沢な配役でしょう。

この「幸うすき星」は好美のぼる初期作品でホラーマンガではないのですよ。
純真な少女漫画です。脈略がない凄まじい転がり具合でストーリーは進み、最後はハッピーエンドで終わります。 何度も言いますがホラーではありません。少女漫画です。うちの娘は美人です(親バカで何が悪い!!)。
オリジナルは当店にありませんので、編者の書き込みが秀逸な「UA!ライブラリー」で堪能してください。

札幌店/大井

「亡霊学級」

つのだじろう


汁感の薄いスピリチュアルなんたらだのがテレビで数年前から登場する昨今。
巨匠丹波亡き後、霊界の広報担当、伝道師として真にその発言力、エンターテイ メント性、爆発力、どれをとっても他を圧倒するその存在感を持つのはやはりつ のだじろう。いわんや漫画をや。オカルト漫画を語るならそのオリジンとして決 してはずせません。紛れも無きナチュラルボーンな天才です。
ただ怖いかと言えば怖くはない。ド肝を抜かれる破壊力溢れる展開であったり、 常に断言し続ける自己顕示欲の強さが目に付きます。

で、今回の『亡霊学級』。
つのだじろうがオカルト路線に本格シフトした最初の読切群。
自分のつのだじろうのファーストインパクトでもあります。
舌が飛び出しぶよぶよした死体が登場する”水がしたたる”、ボットン便所の中にこれまたぶよぶよした死体が浮かぶ”手”。 亡霊学級はグロ度が漫画史トップレベル!これをトップにせしめているのがその中でも”虫”にでてくる青虫弁当です。見てください。

ごはん時の方いましたらごめんなさい。

自分がまだまんだらけに勤めて間もなかったころ・・・。

本店にて「虫が弁当にみっしり入ってるやつを昔みていや〜な気分になったんだけどその漫画あるかな〜」と探しているお客様がいて、 これですかね〜と、亡霊学級の青虫弁当のカットを見せたら、「ギャッ!これだ」と苦い顔をして何も買わず帰っていきました。その気持ち分かります。一度見たら忘れない衝撃です。
この嫌な気分を多くの人に体感して欲しいです。

中野店/竹下

夏といえば怪奇モノ!生理的嫌悪感をアナタに…「誘怪犯」

うえやま洋介犬


ネット漫画が書籍化される流れも最近では珍しくなくなりました。そんな流れの中で発売された「誘怪犯」
都市伝説メインの漫画で、ほのかに氏賀Y太テイストな絵がただでさえ嫌な内容の漫画を引き立てています。
不条理系ホラーといえば「不安の種」が外せないところですが、 こちら商業化されていないネット版の「不安の種」と言えるでしょう。

基本は1ページ完結のオムニバス。
投げっぱなしの終わり方が心にわだかまりを残す事間違いなし。
後味の悪さと言ったらありません。
カラッとした暑い夏に読むには最適の本です。
ジメジメした梅雨に読んだら体調を壊しかねません。
扱いにはご注意を。

せっかくだから、俺はこの氏賀Y太を選ぶぜ!

「Y式解体新書」

氏賀Y太

ホラー漫画と言えば、日野日出志。
小さい頃に日野日出志でトラウマを作った人は多いはず。
最近そんな漫画はあるか考えてみたところ、とある作家の名前が浮かびました。
その名も氏賀Y太。
某ジャンプの「友情」「努力」「勝利」のキーワードのどれ一つも当てはまらない現実的かつ非常に残酷、希望の無い展開が特徴です。

いくら努力しても才能のある人に勝てなかったり、何一つ報われずに死んでしまうキャラのなんと多いことか…。
現実的すぎて夢も希望もありません。

今回紹介する「Y式解体新書」に収録されている「猫穴」もかなり救いの無い作品です。
作品中は擬音のみ、セリフは一つもありません。
猫を探しに行っただけ、主人公の少女は何一つ悪い事はしてません。
少女が息絶えるとき、何を考えていたのか…。
読めば3日は気分が落ち込むこの作品。オススメです。

友達に勧めると本気で嫌がれるかもしれません。
でも、耐性がある人は新しい世界が開ける良い機会です。
覚悟のある人お待ちしています。

中野店/イイダ

「学園七不思議」

つのだじろう


こちらは1991年にアニメ化された「ハイスクールミステリー学園七不思議」の原作になったものです。
自分はホラー物は苦手なので、アニメを見ていなかったら絶対に読んでいなかった作品です。
全部で4冊出ていて1冊に7話収録されていて、巻数ごとに舞台になる学校も変わっていきます。
まさにその学園にまつまわる7つの不思議ということですね。

1巻は特に主人公もいなく特に固定の学園もありませんが2巻の主人公は「一条みずき」で学校は「青嵐学園」です。
アニメではこの一条みずきが主人公でアニメで出てくる月影先輩も出てきます。 最後に一条みずきの死で2巻は終わりとなっています。

3巻の主人公は「二条みずほ」で「私立赤尾学園」、みずほは生き残っています。
4巻の主人公は「三条みずえ」で「黄泉(こうせん)学園」となっており、アニメはこの黄泉学園が舞台となっています。最後三条みずえは壁の奥に消え行方不明になり物語は終わっています。

ホラー物が苦手ということもあり、今読んでも怖さを感じる作品となっています。
つのだ版は4巻で終わっていますが新学園七不思議が2冊出ており アニメ化された時にかかれたこともあり、アニメと設定は同じで主人公は「一条みずき」で「黄泉(こうせん)学園」となっており、月影先輩や南郷さんも出てきます。

残念なのが3巻以降が発売されていないことです。
つのだ版は文庫になっていますので、ご興味のある方はどうぞ。

中野店/平嶋

「座敷女」

望月峯太郎


「女の子に追いかけられたことありますか?」
いや、羨ましい意味ではないですよ。
このマンガは全く逆のお話なんです。
見知らぬ人に自分しか知らない事を言われたときの恐怖、追いつめられて蝕まれてゆく主人公の精神状態がうまく描かれていて読んでるこっちも寒気がします。
ぜひ、実際にありえる恐怖を感じてください。
ストーカーに悩まされる人ってこんなだろうなぁ。
可愛い女の子には追いかけられたいけど。

なんば店/松原