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インタビュー2022.12.14

「庭のおもろみ」大山海先生特別インタビュー

早速ですが簡単な自己紹介からお願いします。
(大山)アックス漫画新人賞で受賞してその後アックスで2年ぐらい 漫画連載してからトーチに『奈良へ』連載して今に至ります。
大山海のプロフィール

1996年奈良県生まれ
・2015年、17歳のときに初めて描いたマンガ『頭部』が、第17回「アックス漫画新人賞」佳作として受賞してデビュー。青林工藝舎で『東京市松物語』を連載。
・2018年12月よりウェブ漫画雑誌『トーチweb』(リイド社)に『奈良へ』を連載
・2021年11月より同サイトにて、上梨裕奨の原案によるシェアハウスを題材とした『令和元年のえずくろしい』の連載中
・2022年10月まんだらけのweb漫画雑誌『ボヘミア』で『庭のおもろみ』を掲載

Twitter:@gooyama4
note:https://note.com/gooyama/

『庭のおもろみ』が出来た経緯

『ボヘミア』で10月20日に創刊されたvol.1で『庭のおもろみ』という作品を執筆していただいたのですがそちらの作品ができるまでの過程を教えていただいてもよろしかったでしょうか。
(大山)つげ義春の漫画のパロディみたいな感じで描き出したのが庭のおもろみですね。『無能の人』とか。私漫画っていう風に自分で勝手に言っていますけど。
個人的な感想なのですが主人公の男性の顔があまり大山先生の漫画では見ないタイプのように感じました。
(大山)辰巳ヨシヒロの目ですよね。顔はねもっとマンガっぽく書こうと思って。結構気軽な感じで描きました。
大山先生がネットで公開されている日記を拝見させていただいて一時期恋愛漫画を書きたいみたいな風に書かれていた時がずっとあったじゃないですか。今回の『庭のおもろみ』はジャンルとしてはその時日記に書かれていた恋愛ものなのでしょうか。
(大山)恋愛と言うかあのーうーん・・・ 恋愛、なんですかね。女性の主人公を一度マンガで書きたかったんですよね。
作品を拝見させていただいていると結構日記で書かれていることがそのまま漫画になっていますよね。
(大山)はいはいはい。まーそういうことも組み合わせて書きましたね。まああの、そんな感じですね。
何か取材にこだわっていることはありますか。
(大山)現地に行って写真を撮って、書いた方がリアリティは出るのだと思いますけど。ほんまそれぐらいですかね。結構色んな人に手伝ってもらって書いています。
どんなことを手伝ってもらっているのですか。
(大山)写真の撮影をする時にモデルになってもらったりして。
作中の女性や男性の役ですか。
(大山)はい、そういう時もあります。自分の時もあります。
女の人の顔ももうちょっと上手く書きたいと思うんですけどね。今主流の顔に寄せようと思って意識して書いていますけど。
意識した女性の顔の漫画とかはありますか。
(大山)漫画ですか?はっきりこの作品と言うと語弊があるのであんまりいえないですけど、あんまり面白くない安く売られている漫画をBOOKOFFでたくさん買ってそこからいろいろ真似して書いていますね。
「目はこうや!」みたいな感じですか?
(大山)そうそう、何か今流行りの漫画。その中から絵が上手くて個人的に可愛いなと思う女性を真似して書くんですけどあんまりその、うまく書けないんですよね。そういう漫画はコマも大きいし瞳の中まで細かく書いてるんです。自分のコマ割で書くとロングショットが多いし、アップもあまり使わないんでね。目の描き方がものっそい難しい。細かなりすぎるし。自分Gペンうまく使えないから太くなったり細くなったり、何でっしゃろ、むずかしいすね、ええ。
『庭のおもろみ』で描かれているショットへのこだわりはありますか。
(大山)別にそんなん、いい感じに描こうと感覚で。描くんですけどね。トレース使うけど、やっぱり手書きがええなとは思います。
大山先生の漫画は背景が描き込まれていますよね。
(大山)私漫画って言葉を使ってる人あんまり見ないし。俺もよくわかってないんですが、私漫画とエッセイ漫画の違いが、一つは背景にありそうなんです。つげさんの漫画も、背景とか物質に人物の心情を投影しますでしょう。『石を売る』で、美石狂会の親父が不能なんですが、それを土台の敷居が腐ってることで示唆したりしますね。そんな回りくどいこと、今やってるやつほぼおりまへんな。
世界が人間を作っているという意識で背景を描き込んでいたりはしますか?
(大山)そうですねやっぱり風土の力を借りることは一つの技術としてあると思います。エッセイ漫画やったらTwitterとかSNSでタイムラインから流れてくる中で気軽に短い時間で読めるように描かれているので、いちいち背景とか風景を描かんでええと思うんですよね。物語と意味と、伝えたいことが通じたらそれでいいから。自分の描いてる漫画はあんまりまっすぐ意味が・・・意味がないっちゅーか、なんやろな。
情報伝達が主じゃないということでしょうか。
(大山)そうや。僕、自然描くのが好きやから。ちょっと自然描きたい気持ちがあるんですよね。人間関係の事ばっかり描いていたらね、ちょっとしんどいんでね。楽しくないんでね。風景描いていると楽しい。東京を舞台にした漫画が世の中多いと思うんですけど、やっぱり奈良を舞台にしたり京都を舞台にしたらその土地の深い歴史がありますからその影響は出てくるやろうとは思うんです。
今回の庭のおもろみもナチュラルに土地についてのことが描かれていますね。
(大山)ナチュラルかどうかはわかりませんが。たまたま住んでいた近くが鳥辺野ちゅうて調べたら葬地でね。平安時代から死体がものすごく捨てられていたみたいなんですよね。俺の住んでる家の辺りがもう全部昔死体ばっかりやったんやなーって思うて。それを知って描きたくなってね。だけど別にそれがなんやって話なんですけどね。うん。上手い人がやったら、もっと重層的な感覚を描けるんですが。
(大山)恋愛漫画を描きたいって言ってたのもね、橿原市の大和三山が畝傍山(うねびやま)耳成山(みみなしやま)・香具山(かぐやま)っていう。丸っこい山がぽこんと三つあるんすよ。そこの真ん中に藤原宮跡(ふじわらきゅうせき)があるんですよ。そんでその山一つ一つをね。男に見立てたり女に見立てたりしてて中大兄皇子が、歌を詠んでいるわけですね。それで三角関係の漫画をこの橿原市の土地で描いたらおもろいんちゃうかなって思って考えてたんですけど橿原市からここの京都に引っ越してきたので描いてません。また描くかもしれないですけど。今のとこはね。
最近ご結婚されたそうでインスピレーションを受けたりしますか
(大山)こういう風なこと考えるんかねって結構女性目線を訊きますよね。女の人ってどんなこと考えてんのって描きながら意見聞いて結構参考にしてます。
女性の描きかたとかで作風の変化はありましたか。
(大山)自分であんまりわかんないですけど、変化はもちろんあります。よく描けてきてるほうやと思います。東京市松物語と比べると。ただまぁ、わかんないすね。
「おもろみシリーズ」次回も執筆していただけるということで、今後何が描きたいとかありますか。
(大山)つげさんが井伏鱒二とか、梶井基次郎とか川崎長太郎とか、私小説に影響を受けていたんですが、 私小説の歴史というか文脈と言うか、戦後の小説家たちが私小説を発展させていった流れがあるので、その先の影響を漫画に取り入れられたらいいなと思いますね。いろいろいてますけど町田康さんもそうやし、ちょっと古い人やと色川武大や小島信夫や、藤枝静男の『田紳有楽』という小説も人間じゃなくて茶碗とか金魚が出てきたりしてしゃべってますから。車谷長吉もある種の幻想小説みたいなん描いてますね。結構それぐらい荒唐無稽なことやってもおもろいですね。次回作はつげさんの旅物の構造を借りてきて描いているんですけど、淡々としてる感じで。いつか飽きる思うんですよね、僕も読者も。
『奈良へ』ではメタフィクションを描きたかったと書いてありましたが。
(大山)『奈良へ』はねえ、メタフィクションそれ自体を僕は大したもんだとは思ってなかったんですけど、たまたまメタフィクションを利用した感じです。『奈良へ』も最初、私漫画風みたいな感じはありました。そっからどういう風に転がしていくかということで展開を変えていたんですけど。今描いている『庭のおもろみ』という作品はちょっとまた別の意識がありますね。女性を上手に描きたいと。
何で女性を描きたいと思ったのか。
(大山)『奈良へ』が男ばっかりやったと反省がありましてね。あとは憧れと言うと漠然としてるんですけど、もっとメジャーな絵柄に、絵柄だけでもなりたいという練習の側面がありますね。難しいんですね。
ストーリーと絵の統一は難しそうですよね。
(大山)うん。俺、女性が描きたい。ちゃんと。
その憧れみたいなものがどこからきているものかはわかりますか。
(大山)ただなんとなく絵柄に対しての自分のこだわりはないと思っているんですが、キャラクターに関してはね、こだわりないと思ってるんでね。読者の間口も広げたいと思ってね。そういう気持ちもあります。
確か以前、noteで『エヴァンゲリオン』は綾波レイが可愛かったからオッケーだって書かれてましたよね。
(大山)『エヴァンゲリオン』もそうやなあ。一時期アニメ見て研究しようと思ったんですよ。『エヴァンゲリオン』は面白かったですよ、アニメは。映画なってからちょっとあれなんですけど。それからね、みんなが見てるような代表的なやつを見ようと思ったんですけどね。飽きてきて別の作品見たんですけど。自分の好みの問題があります。今流行ってるのがどんなんかは分かんないんですけどね。ちょっと飽き性なんですよね。ドラマもダメなんです。その作品の良し悪しじゃなくてね、漫画も長期の連載を追い続けるのが苦手でそれはドラマもアニメも漫画も共通してあまり完走したことないんですよね。おもろいなーと思ってても見るの忘れてんですよね。ついね。おもろないから見てないとかじゃなくて、飽きてまうんですよ。だから自分の作品も描いてて飽きますからね。早く終われへんかなって。
これは長いから俺の描いてる話とは関係ないなとか思いませんか。
(大山)それもあるかもしれないけど。その逆もあるかもしれませんね。映画とかも3時間あったら大変ですけどね。結構小説でもそうなんですよ。うっすいやつでも途中で飽きて読んでないやついっぱいあるんですよね。
音楽はどうですか。
(大山)音楽もサブスクで聞くと飽きますよね。コロコロ変えちゃう。クラシックかけてみたりジャズかけてみたりロックかけてみたり目まぐるしい。それ、僕は子供の頃からですね。
東京から奈良にかけてご自身の着てる服の変化はどうですか。
(大山)ファッション。つまり自分の変化ですね。そりゃありますよ。何考えてたかっていうのはわかんないし。言葉にすると難しいんですけどね。昔に考えてたことは忘れてるし。今もどう見られたいのか。目立ちたいっていう気持ちもなくなってくるし。「まあ漫画描くしかない」って感じ。昔から描いてるから漫画を描くことに特別な自意識も薄まってきました。東京いた時は自意識過剰だったと思います。やっぱ周りの環境の変化もあると思います。東京いた時に見てたものはもちろん人間関係の世界でしかないですからね。そこがしんどくなってきて。もともと自然好きやし、妻も自然が好きやし。ちょっと別の方向の世界を見ると言うかね。人間関係だけを見てたら息苦しい感じがあったんで。それに耐えられたらいいんですけどね。自然に目を向けてたら人間社会とは全く別の大きな力の動きがあってね。嬉しいんですよ。
別の表現方法に移り変わってきてるんでしょうか。
(大山)俺が俺がっていうのはほんまに薄まってきました。いいのか悪いのかわかんないけど。
俺が俺がっていう気持ちは何なんでしょうかね。
(大山)やっぱり承認欲求とか自己顕示欲とか。うーん。大学のときは僕、「Gペンパンク漫画家や」って嘯(うそぶ)いてましたよ。エレカシの宮本に憧れて真っ黒の服着て1年間、大学通ってました。そんなやつやったんす僕は。どういう因果か、なんの因果か。
承認欲求が満たされてその自我が消えたってことですかね。
(大山)満たされたちゅうか、たぶん満たされた先にあるものが結局テレビに出てる芸能人とかああいう風な感じでしょう。多少を世間からもてはやされたり人気が出るんだけども結局こう、使い捨てというか、資本主義社会の中で自分がひとつの商品なったような虚しさがその先にあるんではないかと思ったんですね。「俺が」「私が」でやっていくことが好きな人や耐えられる人は楽しいと思うんですけど。自分は漫画を描きたいっていうのが最初の衝動ですから。人気が出て金持ちになりたいっていう気持ちはありますけど、それに付随する苦しみは大きい。当然お金は欲しいんで、それはいつも考えてますね。自分のようなレベルのマイナー漫画家の稼ぎ方っていうのも。お金を稼ごうっていうのも。だから女のキャラも可愛く描いた方が読者の人気出るんちゃうかと考えたりする。
表現と仕事の葛藤はありますか。
(大山)『奈良へ』もそれ自体が一つのテーマだったような気がします。今はそれも、昔と比べて考え方が変わってきたかもしれないですね。今は芸術や文学や映画や言うてもみんな制約の中でやってますから。日本の漫画業界の一番大きな制約は適度に売れるって事なんでしょう。だからそれの制約の中で頑張ろうとは思ってます。やっぱりある程度売れて次を描かせてもらえなくなったら困るんで。みんなそうやとおもいます。つげさんもそうやったと思うしね。うん。みんなそうでしょうね。
新人の漫画家、特に『ボヘミア』の作家に言いたいことはありますか。
(大山)初めは雰囲気が『アックス』に似てるなと思ったんですよね。僕、『アックス』出身だからよく分かるんですけど。感性が技術より先走りする漫画というのは昔から『アックス』にも多いんですけど。『アックス』って20年以上バーって続いてますけどバックナンバーをRead Nowと結構その、「俺なりの表現」っていうものが実はみんな同じ方向を向いてると思うんですね。『ボヘミア』の作家の人もアックスの20年ぐらい前の作品もなんですけど、結構似ててね。だからね、そこがいいのか悪いのか。漫画の基本的な文法ってありますでしょ。音階と一緒でね。ある程度それに則った方が前衛とまではいかないけどオリジナリティのある作品が描けるんですよね。だからそういう観点で『ボヘミア』を読んで面白いと思ったのは何人かいる。福本さんの『あこがれ』とかね。良かったですよ。

福本眞久先生作『あこがれ』(『ボヘミア』vol.1より)

(大山)うん。ちゃんと物語ってましたね。僕は最近ストーリーがほぼ無いような、地味な作品に興味があるんですけど。地味な作品でも物語の描き方を知ってる人の方が面白い作品を描くんですよね。やっぱりあるんですよね、根本の基本が。なんと言うかリズムと言うかテンポというか。それがない人が描いたものはよく分からなくなる。ある人は面白いですね。音痴とか歌うまいとかそういうレベルだと思うんです。自分の感性より漫画全体のリズムとかテンポをある程度信じた方がいいんですわ。あと『ボヘミア』はいささか言葉に頼りすぎの作品が多いと思うんですね。言葉は言葉の意味しかありませんからね。漫画家は詩人ちゃいますから気い抜くとなんや月並みなことを言うてまうんですね。魂は言葉の外やとおもてね、本質的なことは漫画全体で示唆したほうが豊かではありますね。きりんくんの作品はね絵は上手くなってるなとは思う。お風呂のシーンとかすごいよかったで。

川勝きりん作『無我無中』(『ボヘミア』vol.1より)

(大山)不吉さんはやっぱりうまいなとおもいました。面白い設定があってね。細かい台詞も笑える。

不吉霊二先生作『タレント(前編)』(『ボヘミア』vol.1より)

(大山)亜蘭君は相変わらずやなって思った。

亜蘭トーチカ先生作『柔らかくない肌』(『ボヘミア』vol.1より)

(大山)亜蘭くんがよく言うのは自分は技術が追いついてないっていうのは言いますね。 亜蘭くんの感覚の鋭さは、感性はええんですけど亜蘭君はね、物語るのが苦手なんですね。技術がついてきたらもっと上手くなるかもしれないですけど。漫画のリズムを掴むのが苦手なんやろうな。全体のリズムだと思うんすけど。コマ割りとか見開きとか、フキダシの位置とか物語のことも絵も全部含めてなんですけど、それがうまい具合に噛み合った時が彼の作品にしたって面白いんですけどね。
『庭のおもろみ』を読ませていただいた時に雑誌をパラパラと普通に漫画をRead NowのとゆっくりRead Nowのとで全然印象が違ってこれめっちゃゆっくりRead Now漫画なんじゃないかと思ったんですよね。例えばなんかホームセンターからのシーンとか作者はこれめっちゃゆっくり読んでほしいのかなとか。
(大山)作者としては読者にこう読んで欲しいとかはないんですけど。でもそれぞれの作品の抱えるリズムみたいなものはあると思います。
ホームセンターの後のシーンで鬱陶しい夏の暑さの中、カップルのちょっと嫌なジメジメしたけんかが描かれていて、さらに加えて後ろからは変なガキが石を投げて来てるみたいな、いいなーと思って。

大山海先生作『庭のおもろみ』(『ボヘミア』vol.1より)

(大山)なんかね、『庭のおもろみ』は僕自身はそんなにいい出来やとは思ってないです。ていうのは確かにまとまったんですけど描かれてること自体はそんなにおもろないと思うんですよね。ただね、あのー、自分としては地味なものが描きたかった。シュールな出来事が起こらないものを一回描いてみたかった。それだけの理由なんですよね。面白いって思ってくれる人がいたらありがたいんですけど。
次回作も地味な話になるということで。
(大山)地味な話になるんですけどね。前編・後編・・・まあ地味かな。私漫画も私小説も似たようなもんやと思うんですけど、「この自分の本心をどこまで世間にさらけ出せるか」が私小説の代々の歴史やったんですよ。だからみんな作品のために自分の人生を棒に振るんですよね。そこまでの勇気はないんですよこっちは。だから戦後の作家の人達は「あ、俺こんな自分、さらけ出すん嫌やわ。」ておもったんですよ。だから「語り口」とか「構造」にいったんですよね。発展させてったんだと思うんです。だから僕もねほんまは描きたくないんですよね。自分のこと言いたくないし。結局つげさんの 私漫画のパロディを描くために私を使ってますからね。
どうして自分を描きたくなくなっちゃったんですか?
(大山)そうすっと、実人生に害が及んで滅ぶからです。ただね、他人を描いてる群像劇(えずくろしい)は描いてる自分にも、おそらく読んでる人にも息苦しさがあるんですよね、別の責任を感じるちゅうかね。なんとかポジティブに持ってきたいなとは思うんですけど 、そういう難しさはあります。だからえずくろしいのしんどさから逃れたくて『庭のおもろみ』描いたところもあります。それと『奈良へ』を描いていた時、あんまり信用するべきことじゃないんですけど自分の意識してないところで未来に繋がるような何かを描いているとか、なんとなく描いたことに別の意味があったりとかあって。そういうのとかも町田さんの解説で指摘されてこっちが初めて気づくとか、無意識の働きがあるんですけど。今は自分の感覚では無意識は閉じてると思います。無意識を閉じたら何に頼るかと言うと技術に頼るんです。無意識が開いていたらしんどいんですよね。色んなもん勝手に受信しますからね。開いている時に『奈良へ』をやっと描き終えるぞっていう最後の3ページくらいで謎の胃腸炎みたいになった。ものすごいしんどなって。ほんまに『奈良へ』最後の方は鬱々としていました。一気にドっと疲れがきた感じです。だから今はもう自然の方へ無意識を広げていくと言うか。志賀直哉的な感じでね。体調を崩したくないんでね。規則正しい生活を心がけています。
最後に何か今後の展望はありますか。
(大山)漫画で言えば『えずくろしい』をなんとかおもしろく終わらせたい 。今描いている『ボヘミア』のシリーズはさぐりさぐり描いていきたい。個人的な生活ではまた田舎の方に引っ越したいと思っているんですよね。家賃が安いから。
本日はどうもありがとうございます!
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