2017年12月末に最新92巻が出る麻雀漫画「天牌」。 麻雀漫画としては当然のように最長の巻数です(2017年末の時点でさらに外伝も33巻まで)。
ここまで長いと今さら読み始めるのも大変です。 そのため、基本1話完結の短編ばかりで構成されている「外伝」のほうが薦められる「天牌」。 でも「外伝」を数話読んで分かった気になるのも勿体ない。
ということで、今回のブログでは、駆け足ながら「天牌」本編をオススメしてみたいと思います。
天牌 麻雀飛翔伝説 作画:嶺岸信明 原作:来賀友志
短編の集まりである外伝に対して、当然本編は一本の物語がずっと続いています。
しかし、その物語は大きく18巻までと、それ以降とで別れていると自分は捉えています。
さらに細かく見ていくと10巻までに大きな物語がひとつ、11巻から18巻までにひとつ、とふたつの物語があります。
ですので、90巻オーバーに恐れを抱かず、まずは10巻までの物語として手に取ってみて、面白ければさらに18巻まで読んでみるのがオススメの読み方です。
□ □ □
話の筋は、麻雀狂いの青年・沖本瞬が、麻雀職人と呼ばれる黒沢義明に出会い、麻雀の"プロ"(職業としての麻雀プロではなく、麻雀で凌いでいく、という意味)としての生き様をときに言葉で、ときにその打ち筋を見て教わっていく、というものになります。
※麻雀を愛する男・沖本瞬
※麻雀職人・黒沢義明
沖本瞬に、この黒沢の弟子で東大生の伊藤芳一に、裏賭博に通じる青年・影村遼の、3人の青年たちの物語がメインになります。
※現役東大生・伊藤芳一(通称:よっちん)
※雀ゴロ・影村遼
さて、ここからは少々ネタバレを含みつつ紹介していきます。
3人は学生麻雀選手権に出場します。その裏で、とある事件が起きます。
その事件の犯人を捜すため、麻雀職人・黒沢が麻雀を打ちます。
「ヤツは俺が仕込んだ。イカサマをするわけがないし、しても見破られるわけがない」
そして真相に近づいていく黒沢に、それが気に入らない裏社会の大物。
黒沢の前に立ちふさがるのは、その黒沢の麻雀に魅力を感じつつも義理により黒沢を止めざるを得ない、裏賭博界No.1とも称される打ち手・入星祥吾。
黒沢は麻雀の勝負を持ちかけ、入星はそれを受ける。
何故、麻雀なのか?
「魂が牌に宿るのが麻雀」だからです。
牌が示す結末とは......。
いわゆる「流れ」論の極地ではありますが、迫力のある展開に固唾を呑んで頁を繰ること請け合いです。
ここまでが10巻の流れになります。
11巻からは、魂の籠もった麻雀で、裏社会の大物までをも魅了したその黒沢さんが不治の病に侵され、死ぬ前の対局を望み、その対局が描かれます。
自らのシガラミから身動きが取れなくなるよっちん。先の麻雀で身も心もボロボロになった遼......
その二人が別々の物語を歩み始めるのに対して、黒沢・入星の対局を見た沖本は自らの麻雀をさらなる高みへと鍛え上げんとさらに麻雀へ没頭していきます。
そんな沖本に、先の入星との対局で黒沢さんの麻雀に惚れ込んだヤクザたちも交えての、黒沢さんの最終対局へと物語が収束していきます。
この対局は雀荘「天狗」で行われたため、作中「天狗決戦」と称されます。
この「天狗決戦」への力の入り用は、18巻巻末に、すべての牌譜のみならず、すべての牌山・王牌まで作りこまれているところ に現れています。
麻雀漫画における最高峰の一局といっていいでしょう。
この対局後、以下の画像のページを挟んで、主に上記3人の視点が入れ替わり立ち替わりで"その後"を紡いでいきます。
19巻以降からは特に物語の構成が大きく変わります。話の軸を2~3つ作り、常にどこかで誰かが麻雀を打つシーンが入るという、今の「天牌」独特の物語構成が成り立っていきます。
故に、これ以降「麻雀を打たない繋ぎの回」というのが極端に少なくなります。
物語の軸(視点)も、話が広がるにつれて次第に沖本・伊藤・影村以外のものも多くなってきます。
□ □ □
以上、18巻までの「天牌」の物語の紹介でした。
ここまで来れば、あとはお気に入りのキャラがいれば、そのキャラを追うような感じで読んでいくと、するすると全体の粗筋も頭に入ってくると思います。
これ以降も、牌に命を懸けた魅力ある博徒たちが次々と登場します(そして、退場していきます)。
最後に。
「天牌」の魅力は、物語を彩る妙に迫力のある名言の数々と断言しても間違いではないと思います。
人生訓的なものも多く、それが作品の魅力になっています。
論理的に考えるとオカシイことだらけなのですが、そこを迫力で押し切っているのです。
中でも自分が好きな台詞3選+番外でこの記事を締めたいと思います。
3位:「ばっちゃん 牌が1個足りねぇんだ」
流れを変えるために牌交換を要求。それが断られるや、おもむろに牌を飲み込む八角さん。
決死の覚悟が伝わってきますが、要求してるのは牌を交換することだけですから(別にイカサマしてて証拠隠滅とか、イカサマされてるから牌を交換したい、とかではない)。
2位:「俺が人生3べん繰り返したって こ こいつには勝てねぇ......!」
主人公・沖本瞬の強さに対する感嘆の台詞なんですが......
人生3べん繰り返すという基準もよく分からないし、3べんの人生全部麻雀に捧げる気かよ! とつっこまざるを得ない。
しかし実に「参った」といった感情が分かる台詞。
1位:「そこに北はあるんだよ」
ひとり実力が劣る影村遼に、ベテラン3人が言う台詞。
理屈に合わない迷言が多い「天牌」ですが、その中でも屈指の超理論。
しかし、これまでの展開と演出で、実にこの作品自体を表しているようなシーンとなっています。
たぶん「天牌」をずっと追っている人たちで好きな台詞アンケートをとっても一位になる台詞なんじゃなかろうか。
ちなみに、これを言われた影村の反応。
最後は番外編。
上述のような数々の超理論も70巻以上楽しめた自分も、つっこまざるを得なかった72巻での珍台詞。
番外:「イチゴの気持ちが分かると不思議なもんで 人の気持ちまで読み取れるようになる」
これを読んだときの自分:
ちなみに、この感銘を受けている若者は北岡といって、作中ヒエラルキー的にトップクラスの実力者ですが、今(91巻現在)は順調にイチゴ農家への道を歩んでいます。北岡先生よ、どこへ行く。
以上、簡単ながら最長麻雀漫画「天牌」の紹介でした。
紹介しきれなかった重要キャラもまだまだいます。是非、本編を手に取って楽しんでみてください。
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グランドカオス 山本
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