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四丁目の夕日　旧装版

夕日をバックに希望に満ち溢れている2人の親子の姿が印象的ですね。
ですが、中身はこの表紙とは裏腹に皮肉にも悲惨な物語が待っているのです。
個人的な話になりますが、私は山野一先生の作品を知ったのは「どぶさらい劇場」でした。
こちらの作品は人間の業(カルマ)をテーマにドロドロと、そしてエロティックに時折ギャグ要素を含め、
最終的にはきちんとトラウマを植え付けられるえげつないストーリーでした。
「どぶさらい劇場」を踏まえて次に読んだ作品が今回オススメする「四丁目の夕日」です。
「どぶさらい劇場」とは少し異なり、こちらは、ギャグ要素抜きのただただ暗いお話です。
主人公のたけしは特に恵まれることもないですが(後々考えるととても恵まれていたのですが)
平凡な一般家庭に生まれ育って生きてきました。
その後高校受験を控えた中学生三年生の彼を待ち受ける悲惨な出来事が…。
読めば読むほどやるせなくて辛くて読むのを途中でやめたくなる、
非常に重いストーリーではありますが、私は読んでおいてよかったと思います。
トラウマももちろんしっかり植え付けられます。
ですが、私はラストのシーンでほんの少しだけ救われた気持ちになるのです。
読み手によっては、バッドエンドじゃないか！とはなるのですが、
わたしはバッドエンドの中のほんの少しの、ほんのかすかな希望を感じるのです。
これだけ辛い半生を生きていく人を見て、あー辛いな、悲しいな、やるせないな、
そうではなくて、明日から頑張ろうと思っていけるのです。
特に旧装版は今はなかなか入手もしづらいので貴重さと内容含めこの機会に手に取って頂きたい一冊です。

続いての作品は

　夢の島で逢いましょう　新装版

1985年2月25日に初版が発行されたこちらの作品。
後期の絵柄とは違い、線の細さやコマ割の多さが見受けられます。
旧装版と新装版の違いですが、収録作品が異なります。
まず初版のみに掲載されている「食の探求者」というカニバリズムをテーマの作品が
削除されています。
で・す・が！
その分新装版には旧装版には載っていない「たん壷劇場」がたっぷり収録されています。