まんだらけ小倉店 1F ムック時代を数十年以上先取りしちゃってたお話＋”ぬいぐるみ役者”の半生

世の中には「生まれてくるのが早すぎた」とか「世に出すのが早すぎた」というようなものが時々存在しています。
もう少し世に出すのが遅かったら、あるいは時代が違っていたら、評価も違ったものになっていたのに、と妄想できるのは後世に生まれた人間の特権ともいえますが。

「ゴジラ東宝特撮未発表資料アーカイブ」に収録されているシナリオ『ゴジラの花嫁？』もまさに世に出るのが早すぎた作品。
SF作家山本弘先生もブログで取り上げていたように、とても昭和30年に書かれたとは思えない内容。
人間そっくりの巨大ロボットをゴジラと結婚させよう、などとこの時代によく思いついたものだと、妙な感心をしてしまいます。
またSF界の巨頭、眉村卓・荒巻義雄・光瀬龍先生たちにゴジラ復活のためのプロットを依頼されていますが、いずれもそれぞれの色が出ていて興味深い内容です。

同じくゴジラ関連書籍で入荷したのが「怪獣人生」。
初代ゴジラの「ぬいぐるみ役者」（スーツアクター）の中島春雄さんの半生をつづった本であり、そのまま戦後日本の特撮映画の隆盛の歴史を振り返る内容にもなっています。
以前紹介した古谷敏さんの本と比べると、こちらは職人気質、という印象で、円谷監督を慕い、怪獣映画に情熱を注いだ一人の俳優の人生が凝縮されています。
ちなみにトリビア系番組で有名なゴジラの「シェー（怪獣大戦争より）」は中島さんのアイディアだそうで。頑固なところにもどこかユーモアがあるのが、この時代の職人というところでしょうか。

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(担当有冨)