まんだらけ中野店 3F 本店2 島本和彦の手塚キャラ最強決定戦!?「炎の筆魂　参之拳」

今回紹介するのは島本和彦先生の「炎の筆魂参之拳」です

なんか黒い影がいますがその正体は…

島本和彦といえば、いわずと知れた熱血漫画の大御所。
その独特の何が根拠なのがわからんがパワーだけは感じさせる台詞回しが最大の特徴です。
熱血漫画、といっても実際にはパロディやギャグが多く混ぜられた単純に熱血とはいえない王道から少し外れた作風なのも特徴でしょう。
他にも、北海道で配信されていたラジオ番組やTwitterでの熱い暑い作品語りや、実質エッセイ漫画としての側面を持つ話題作「アオイホノオ」、Gガンダム等のアニメ作品やゲーム作品のキャラクターデザイン等で先生の名前を目にした人も多いと思います。

さて今回の「炎の筆魂参之拳」は島本先生の短編集なわけでして、その中でも最も目玉な作品が「マグマ大使地上最大のロケット人間の巻」そう、手塚治虫先生のマグマ大使を題材に島本先生が描いた作品なのです。
むろんそのタイトルのパロディっぷり（元ネタはあの「PLUTO」の原作になっている「鉄腕アトム地上最大のロボット」）からもわかるように、島本先生の手塚愛と遊び心いっぱいの作品となっております。

まず、マグマ大使ときけば誰もが金色の巨人の姿のことを思い出してくれると思いますが、その内容を知っている人は少ないと思います。
少なくとも、漫画版のマグマ大使はどこかとぼけた感じのあるお父さんといったキャラで、敵に正面からぶつかってはあっさりボコボコにされたり、上司のポジションのアース様にペコペコしたりとあんまりヒーローぽくない印象です。
ライバルのゴアもロリショタコンの両刀という変なキャラですし・・・
そんなあんまり優遇されているとも、パッとしてるとも言い難いマグマ大使なわけですがそんな立ち居地だからこそ島本先生が調理すると非常に愉快なことになるわけです。

こんな感じにマグマ大使も完全に島本キャラになっております…
それにしても、「きわめてユニークなプロローグを期待する読者の失望」って…

ストーリーはタイトルどおり、自分で不遇に不満足なマグマ大使が様々な手塚キャラに戦いを挑むという聞いただけでワクワクがとまらないパロディもの。
マグマ大使本編終盤にも登場した因縁の相手、魔神ガロンだけでなくビッグXやサンダーマスクといった同じ特撮系巨人キャラ（そしてマグマ大使と同じく不遇…）はもちろん、まさかまさかの「火の鳥」からロビタが登場したりとそのマニアックでツボを押さえたストーリーは手塚ファンなら感涙もの。
小ネタも非常に面白いので元ネタの作品をもう一度読み直したくなるという愉快な作品なのです。

気にするなマグマ大使とビッグX！手塚先生はジャングル大帝以外の作品は多分本当は好きじゃないぞ！多分！

手塚作品は、キャラがスターシステムとして様々な作品にわたって登場することはあっても作品自体に触れられたり、ネタにされたりということはあまりありませんでした。
この漫画は島本先生が、そんなファンなら誰でも創造するような夢の対決を最高のギャグに乗せてお送りするという最高の手塚ファンへの贈り物ともいえるでしょう。

そんな手塚ファンならぜひ読んでもらいたい「マグマ大使地上最大のロケット人間の巻」が収録された「炎の筆魂参之拳」貴方の本棚に手塚作品と一緒に並べてみてはいかがでしょうか？

ちなみにこの作品、最後に（島本先生が考える）手塚作品最強のキャラが登場するのですが…あぁ！そう来たか！という意外にもほどがある人選（？）で驚かされます。
そして訪れる最終ページ…あぁ…こんな終わりですか！やっぱ手塚作品は最高です！そんな最後が気になる人はぜひどうぞ。

おまけ