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「漫画らしい漫画ってトンデモでしょ？違うか？」。

『唇にパンク』全5巻セット
発行：秋田書店
著：笠原倫

「パンクに思い入れはない」「ギターコード1つ押さえられない」と、堂々と公言する漫画界のパンクス野郎、笠原倫先生の作品。
この作品は内容じゃなしに、やってる事がパンク…という解釈で進めていきます。
「でも、やるんだよ」精神で。

思いっきり表紙にもあるように

（下のコマの女子が嬢ヶ島都・・・箱入りか！））

「6×9＝53＋1（ロックはゴミのひとつ上）」「BOYS BE SID VICIOUS！」「SAY－NO！（せーの）」「69－D－74（ロクデナシ）」「露剣狼（ロケンロー）」等、先生の解釈が斬新なセリフが満載！！
いちいち先生の考え出した「パンク」っぽい単語が散りばめられていて何度も読み返したくなります。
2巻辺りから息切れ気味なのか、パンクかどうか怪しいものも入っている気もしますが、コレこそがこの作品の味でもあります。うーん、パンクス。

あと20年してどこかのライブハウスからこれらのセリフが聞こえてきたら、日本のパンクはもう1段階新しい境地へ間違いなく到達するでしょう（もしくは終わりか）。

物語は絶対音感を持つ主人公のギタリスト「遠藤完（えんどうかん→END完？）」と、ドラムと作詞担当の「間壁シズオ」、そして人数不足で退部を免れるために無理矢理入部させられる「水上次郎」（最初アコギで後にエレキギター）と、主人公に恨みを持つヒロイン「嬢ヶ島都」…他、名前だけが個性的な登場人物も続々登場。
…「手久尾理須人（てくびりすと）」って名前を付ける親の顔とか見てみたい！

どうやって勝敗を決めるかまったく分からないギター対決（速弾きしたら勝ち）とか、「ベスト・キッド」的修行法（お好み焼きを素手で食う）によって新たな奏法を獲得していったり、メタル使いは出るし、三味線使い（しかも五味線という新しい楽器を勝手に作って）は出るしで「昨日の敵は今日の友」をかけ声に、最終回まで一気に駆け抜け大円団…。

ちなみに現在の漫画表現における「唇にパンク」の「ブルーハーツ」系譜は吉沢潤一先生の「足利アナーキー」に受け継がれていることもお忘れなく。

状態は全体的に経年の焼け、背表紙傷みあり、1巻は表紙カバーに若干の破れがありますが、それも含めてパンクって事で！
場所は3階本店セット本コーナーにて。

(担当小泉)