【まんだらけトピックス】本・まんが・コミック・TOY・同人誌の専門店

〈Disc.A〉グレゴリーホラーショーside
「なんか10年以上前の夜遅くにやってた、四角いネズミのゾンビ？みたいなのとかピンクのワニのナースとかが出てくる薄気味悪いアニメ……覚えてるヤツいる？」
?
って聞かれてあーあー…あったね…ってなる人ようこそ。
日本初のフルCGアニメとして1999年～2000年(※世紀末～新世紀)に放映されていたショートアニメシリーズ『グレゴリーホラーショー』。土曜の夜中の5分間という気分がボイド地帯の放送枠、暗い画面と終始主人公視点の不穏極まりないカメラワーク、今でいうとグラフィグだけど当時は見慣れなかった箱型の奇妙なキャラデザなどなど、なんだか脳裏の片隅にこびりつきそうな独特のホラーテイストが話題になった作品です。個人的には当時新発売で人気を博したDr.グリップ（フリシャー）のおまけにこのキャラクターのキーチェーンフィギュアがついてきたのが鮮明に記憶にあるのですが、肝心のアニメの内容は怖くてあんまり覚えてないんです。そして月曜日の昼休みに「一昨日夜中にこんなアニメ見たんだけど…
えっ、放送してるよね？他の人も見た…よね？」みたいなオカルト＆トラウマ＆センセーショナルという稀有な存在でした。
そのコミカライズとしてたった1冊だけ、この『グレゴリーホラーショーアナザーワールド』が出ています。なぜかブームから5年以上経過した2007年にモーニングでこっそり連載、発売、そしてこっそり絶版になっていった人魚の泡のような本。これがなかなか巷には落ちてないようです。調べたところ、電子版ならば講談社のサイトで定価で購入できるほか、今現在は紙媒体版もさして変わらぬ価格でAmazon先生で買えます。あっなんか夢を壊してしまった人いたらごめんなさい。でもこういった発行部数そのものが少なかったようなコアな単行本は、自分の心の中で"幻の本"として実物との出会いを求めるのが一番美しく大事に感じる気がします。そんな感覚が他の人にもあるのか、年0.8回くらい店頭でお客さんに
訊かれるので、倉庫からはるばる発掘してきた1冊を今回の棚卸に合わせてお出ししますよ。
小さいカドイタミはありますが、小口がカラー染めなので目立ったヤケが少なく、傷付きやすい光沢カバーも並程度にキレイかつ帯付です。
本店 II のショーケースに鎮座してもらいますので、見に来てください。

〈Disc.B〉鈴木小波side

ここまで読んできてずっとうずうずしてた人、ようこそ。
そうなんですよね、これ鈴木小波なんですよね描いてるの。どこぞ見知らぬ文字の海で「打ち切りの帝王」と囁き賞賛されようといくら雑誌が廃刊しようと、「さなみ」を「こなみ」と読まれようと、これは鈴木小波の貴重な単行本の一冊です。ブラック★ロックシューターはもちろん持ってる、ヤオツクモもホクサイも出落ちガールも新刊で買った、アクジキもかろうじて持ってる、ただセカイのミカタの2巻とPIPOPAとこのアナザーワールドだけはどーしても見つからん！！ってファン多いんじゃないでしょうか。なにしろ私がそうです。別にネット使えば入手できなくもないんだけど今はそういう話してるんじゃないんです。
生原稿の手触りが想像できそうな細かいアミカケやベタに始まり、この人だけが持つ空気感が漂う作画。初耳の人いたら是非とも画像検索してみてください。コミックにならない未収録が非常に多い一方、コミティアでは継続的に新刊を発表している不遇不屈の作家です。
この『グレゴリーホラーショーアナザーワールド』でもその画風は変わらず健在。魚眼アングルの多用と物々しい雰囲気がホラーテイストによく調和していて、不穏な迫力はお手の物。またアニメのキャラデザを踏襲しつつもオリジナルストーリーできちんと構成・着地するあたり、一朝一夕では成し得ないキャリアの長さが窺えます。手描きの原稿サイズのモノクロ画面で個性が炸裂する作家てのもあまり見ない気がします。
そんなこんなでやっと確保した1冊、10日に出しますので見に来てください。我々はあいにく古本屋ですが、鈴木小波先生、いや姐さん、どこまでもついていきますぜ。

こちらの商品は9月10日(水)、本店 II ショーケースにて販売します。事前のお取り置き等は出来かねますのでご了承下さい。

(担当白石)