本書は「地球外生命体」についての論争史といふことなのでUFO、宇宙人系の書籍なのかなァと思ひきや、堂々たるヨーロッパ哲学史の文献でありました。
具体的には「多世界論」といふもの、つまり「我々が住んでゐる世界以外にも世界はあるか」といふテーマについての煩瑣な論争史なのですが、どうしてそんなことで必死になるのかいまひとつピンときません。
その理由を考へてみると、やはり一神教的な価値観が根深く基底にあるやうに感じられます。
つまり本当の神と契約を交はした我々こそが唯一の存在であるといふ選民意識が、他の世界を認めるのに心理的抵抗をもたらすのでせう。
我々一神教圏外のものからすれば「多世界」を認めることなんて簡単だから、その必死の論争自体に感情移入しにくいです。
しかし、また本書をみると一神教以前のプラトンの時代から多世界論争があったやうですから、西洋の絶対的価値観といふのはいよいよ根が深いやうです。
そんな異文化理解の一助として、本書は哲学・宗教学の探求に多大なる示唆を与へてくれるでせう。
全三巻セット函入です。
(担当 山口ケン)
ご注意点
掲載の情報が販売情報の場合
- 掲載商品についてのお問い合わせは(指定がある場合は上記コメント内に記しておりますのでご確認ください)開店30分後からの受付となっております。各店の開店時間は、店舗情報にてご確認ください。
- 掲載の商品は店頭でも販売するため売り切れる場合がございます。
- 商品の探求は、専用の探求フォームをご利用ください。
掲載の情報が買取情報の場合
- 掲載の買取価格は商品状態、在庫によって予告なく変動します。