まんだらけまんだらけグランドカオ 1F ライトノベルコーナー販売情報「オススメラノベコーナー第13回目です！」

今回のオススメは、田中ロミオさんの『人類は衰退しました』。

人類がゆるやかに衰退して数世紀。そんな人類にかわり、地球を支配している(？)
のは、妖精さんだった……。
このタイトルとあらすじを読んで、ついついショートショートの名手、星新一さんを思い浮かべてしまいました。
何千年も先、人類が滅び去って、その代わりに別の種族が地球を支配する、といったブラックな作品、数多かったですもんね。というか、昭和中期のSF作家の作品には、こんなシチュエーションが
よく見られました。今より騒がれていた公害問題や朝鮮戦争以後、米ソの対立など、当時の不安な世相をあらわしてたりするんですかね。
もっとも、この『人類は衰退しました』は、そんなブラックな要素はほとんどみられません。
ほのぼのとした小説です。人間はゆるやかな衰退を受け入れていますし、妖精たちも、地球を支配するというよりも、
地球に住む生き物の人口の大多数をしめているだけ。主人公の少女は、そんな人間と妖精の間を取り持つ調停官です。
賢いけど、ボケボケの妖精たちとの交流を描いています。
一人称で、なおかつ、ですます調でつづられているせいか、まるでおとぎ話を呼んでいるような感覚で読めてしまいます。といっても、妖精とのやり取りはボケと突っ込みの嵐なので、笑いもたっぷり(特に主人公に食べられることを危惧する
妖精たちのあせり具合はサイコーです)。
こんな世界なら、人類が衰退するのも悪くないかも。
興味を持った方は、1階ラノベコーナーに展開しているので、ぜひ手にとってみてください。
ちなみに、現在ライトノベルは電撃文庫を中心に一部3階にも展開しています。そちらの方もどうぞごらんください。

(担当安田)