まんだらけまんだらけコンプレックス 3F 日本を代表する編集者”山師に憧れる異色の偉人”長井勝一

年の瀬が近づいて参りました・・・。
この季節になると一年を振り返って今年どうだったというのがどのジャンルにおいても語られますが、漫画界では『ヤングサンデー』休刊と雷句誠から端を発した小学館問題が大きかったですね。
小学館問題においてさまざまな人が参加し語られた漫画家と編集者との関係。
それぞれいい人もいれば悪い人もいるでしょうが、編集サイドの顔が見えてきにくいのと、漫画家は担当を選べないというのは事実。

そんな編集者のかたちが問われた今年タイムリーに出た本が長谷邦夫『マンガ編集者狂笑録』。
実在の人物が登場する短編小説集。
おもしろいです。特に漫画界初期を支えた編集者たちのパワーと情熱は目を見張るものがあります。
その一番最初に取り上げられる人物が長井勝一さん。ご存知「ガロ」を立ち上げた方です。
個人的にも非常に好きなのですが、何がいいって他の編集者とは全く違う豪快さ、「山師になりたかった」という一発あててやる感は他の編集者ではないですよ。
雑誌や付録の漫画や活字の部分を寄せ集めて合本にして路上で売ると飛ぶように売れたという戦後日本の圧倒的勢いと野生のパワーを感じさせるあたりが個人的には最も好きです。
編集うんぬん以外でも今の日本に欠けているものが感じられるという意味でも長井さんの話は楽しいです。
そのあたりの話がより詳細に書いてありますのでこちらの本たち手に取ってみてください。

話逸れますが、編集サイドが感じられるという意味ではジャンプ連載中、小畑健×大場つぐみの『バクマン』はもってこいの漫画。
「何が当たるか分かってたら打ち切り漫画なんてでないよ、ハハハ～」って目がすわったまんまで編集者が笑うシーンなんか最高ですね。

(担当竹下)