(図1)
ノベルじゃなくてコミックスじゃないか、という話ですが、ご存知の通り『原作:西尾維新』のクレジットがあります。
西尾先生といえば『戯言シリーズ』や『刀語』『化物語』などの作品でおなじみの、ライトノベル作家です。
その西尾先生が、おひざ元の講談社ではなく、集英社、それもあの週刊少年ジャンプで原作をてがけるというのは、事件は大げさにしても、なかなかに大きなトピックスでした。
しかし、ジャンプの掲載順を人気のバロメータであると真に受けるなら、多少の誤差はあると思われますが、まだ連載10回目をようやく超えたところでかなりの苦戦している様子がうかがえます。 人気作家を原作に迎えての連載であり、作画を担当している暁月あきら先生の絵もなかなかはなやかであると思うのですが、分かりやすく人気を得ていない(と思われる)原因はなんでしょうか。
まず、問題−あくまで一読者としての勝手な感想ですが−として、原作者である西尾先生が原作で担当している部分、おそらくキャラクターの濃さみたいなものが、コミックに出力される際に十分に再現されていない可能性があります。 たとえば、タイトルにもなっているヒロイン・めだかは、傍若無人であるが不思議なカリスマで周囲の人を引き付ける、という意地の悪い言い方をすればよくあるタイプのキャラクターが基本になています。
しかし、こういうキャラクターに説得力を持たせようとするならば、それなりの描写が当然作中に必要です。
そしてそれは、いわゆる”地の文”が存在する小説とはちがい、絵で表現しなければならないコミックスでは難易度が当然あがります。
さらに描写にも時間がじっくりと欲しいところでもあり、連載当初のスタートダッシュで読者をとにかくひきつけなければいけないジャンプでは難しいといえます。
この文章を書いている段階では、「めだかボックス」はようやくキャラクターが多数出てきていて、その名前や描写にも西尾先生らしい感じ雰囲気がようやく出始めています。
(図2)
次回の話は未定です。
(担当 有冨)
※この記事は2009/7/22に掲載したものです。